「閉口機能積層印象」「ゴシックアーチトレーサー」ってなんだ?

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先生、普通の入れ歯の型取りって「口を開けたまま」、あの「粘土みたいなもの」で取りますよね?

「KGKデンチャー」はそこから違います。

まず入れ歯の型取りだけど「口を閉じる」、正確にはイーウーオーと開けたり閉じたりしながら型を取ります。

様子が下記ボタンをクリックするとご覧になれます。

イーウーオー??

口を開けたまま食べる人はいないですよね。

それと、口は食べたり喋ったりするたびに「頬の内側の粘膜の形」や「ベロの位置」が変わりますよね。 そこも含めて精密にコピー(再現)するんです。

動くものをコピーするなんて出来るんですか?

はい。

研究に研究を重ねて編み出した方法が、粘土のように硬い素材ではなく「ドロドロした素材(シリコン印象材)」で、しかも「3回」に分けて取るんです。

ドロドロ?3回?

それが「閉口機能積層印象(へいこうきのうせきそういんしょう)」です。

KGKデンチャーしかやってないです。

その方法だと、こんなに精密に口の中がコピーできるんですよ。(下記画像参照)

なるほど、漢字をばらすと少し意味が分かります。

しかも独自の方法で(上の写真見て)さらに、こんなに口の中がリアルに再現されるって、ちょっと驚きです、見え過ぎちゃって困ります。(笑)

凄いですよね。
僕も毎度ビックリします。

あと「ゴシックアーチトレーサー」というのがあると聞いたんですが、それは何ですか?

「ゴシックアーチトレーサー」(上記画像)で、「噛みあわせの高さ」と「アゴの位置」を取ります。

普通は噛み合わせをロウ堤(ろうてい)というロウを患者さんに噛んでもらって測るのですが、正確な中心位(ちゅうしんい:噛むのに心地がいい高さ)が取れないんです。

「ゴシックアーチトレーサー」を使うと、ネジをまわして「0.5ミリ単位」で噛み合わせの高さが測れます。
患者さんに聞きながら何回でも出し入れて中心位を割り出します。

0.5ミリ単位で測れるってすごいですね。

プラス、アゴの位置を計測も「ゴシックアーチトレーサー」でします。

歯がある人のゴシックアーチは「矢印」になります。(下記画像参照)

入れ歯の人も同じように「矢印」になるよう目指します。

ちなみに、安定しない噛み合わせのゴシックアーチはこんな感じです。

ということで、ゴシックアーチトレーサーで2つの事が計測できます。

これもKGKデンチャーオリジナル。

患者さんのために近藤さんが研究に研究を重ねて編み出しが方法で、実際に当院でも多くの患者さんが満足してもらえる結果が出せています。
技工士さんも僕もあきらめないです。

動く部分も含めてコピーしているので「吸い付いて落ちない入れ歯」になる・・・そのためには「型取り」は最大の肝です。
驚くべき精密な型取りの一部始終を知ると「こんな風にして落ちない入れ歯を作るんだ、しかも受け身だけじゃなダメなんだ」とイメージが出来るかと存じます。

KGKデンチャーならではの型取りのポイント4つ

1.型取り1回につき、上アゴ3回+下アゴ3回=合計6回の印象を取る
2.1~3回とも違うドロドロ感(1回目はドロ~、2回目はさらに柔らかいドロ~、3回目は水のように柔らかい)の粘土(印象材)で取る
3.「ミクロン単位」での型取りが可能
4.噛み合わせの高さとアゴの位置を「ゴシックアーチトレーサー」で精密に測定

型取り大まかな流れ

1回目(黄緑:一番下)

トレータイプでおおよその型、究極の個人トレーを作る。

2回目(青:真ん中)

転覆試験(てんぷくしけん:入れ歯がバタバタしないか?)をします。
ガムのようなものを噛み仮の患者さんが咀嚼した状態を作り、入れ歯が転覆するかどうかチェックします。
※転覆する状態で、入れ歯を作るのはNGです。

3回目(ピンク:一番上)

ピンクの部分はほぼ水のような材料なので、粘膜のさらに奥まで型が取れます。

※上記写真は、3層になっていることが分かりやすくするため断面をカットしています。 これがどう積み重なっていくか?そして、ゴシックアーチトレーサーでの噛み合わせ採得、長編です!(汗)

いざ!実況中継!

赤字=上アゴ青字=下アゴ緑字=ゴシックアーチトレーサー

1. 作業前準備
2. トレーの調整
3.上アゴ1回目の印象
4.下アゴ1回目
5.上アゴ1回目の印象採取後
6.上アゴ2回目

7.下アゴ1回目印象採取後
8.下アゴ2回目

9.上アゴ3回目
10.下アゴ2回目印象採取後
11.上アゴ4回目※
12.下アゴ3回目最終印象
13.上アゴ5回目※
14.下アゴ最終印象採取後、最終調整⇒下アゴFIXまで
15.ゴシックアーチトレーサーのネジを立てて最終調整準備
16.上アゴ最終印象採取後、最終調整⇒上下アゴFIXまで
17.ゴシックアーチ用に上アゴのネジの高さを調整し、バイト(噛み合わせの高さ)を測る
18.ゴシックアーチによる噛み合わせチェック

19.最後に噛み合わせ部分の印象を取ります

1. 作業前準備

「現状の模型」(左:概形印象)と「これから印象(歯型を取る時の粘土のようなもの)を乗せていくトレー」(右:精密印象)をスタンバイします。

左のものが咬合器(模型をセットする台)にくっつき、その下に右のトレーを載せています。

2. トレーの調整

3-1
印象材が着きやすいように薬剤を塗ります。「この下処理が重要なんですよ」と近藤義歯研究所の代表談。

3-2
フロー(右手で持っている空気を出すもの)で風をあて、薬剤を乾かします。

3-3
印象材を専用シリコン(印象材)ディスペンサーガンを使って盛る。

先生、歯型を取る時って、粘土みたいな硬いものを使うイメージですが、どうしてこれは柔らかいんですか?

これは「シリコン印象」という柔らかい印象材(いんしょうざい:型取りの材料)です。
保険で使う印象材は「アルジネート印象」といって、いわゆる粘土っぽい印象材です。
軟らかいことで粘膜にフィットした印象が取れます。

3-4
印象材を専用のコテ(スパチュラ)でならす。

3-5
これを患者さんの上アゴに入れる。

4-1
再度印象材が接着しやすいように薬剤を塗る。

4-2
フローで風をあて薬剤を乾かす。

4-3
印象材を専用シリコンディスペンサーガンで盛る。

4-4
印象材を専用のコテ(スパチュラ)でなじませる。

4-5
これを患者さんの下アゴに入れる。

【技工士】イーウー、オーそのまま軽く噛んで、開けないでください。

本当に口が開けっ放しじゃないんですね、しかも「イーウーオー」と患者さんに口を動かしてもらっている・・・。

動く粘膜(ほっぺの内側や唇の裏側)を転写(コピー)するためには大事なプロセスです。

「バリ」(余分な部分)と「当たっている箇所の印象材」を削る。

6-1
印象材が接着しやすいように「削ってなした箇所だけ」薬剤を塗る。

6-2
2回目の印象材を盛る前に、「バリ(余分な部分)」/筋肉の接地面(入れ歯の外側)の印象材を再採取するため削る。

6-3
2回目印象材を盛り(1回目よりドローッとしている)コテ(スパチュラ)でなじませ、患者様のお口にセット。

【技工士】イーウーイーウー、右左、ベー、噛んで、イーウー、ではそのまま軽く噛んでいてください。開けないでください。

7-1
専用ナイフで、バリを取る&筋肉接地面(入れ歯外側)を第2回印象採取用にカットする。

7-2
「当たっている箇所の印象材」を削る。

8-1
印象材が接着しやすいよう「削ってならした箇所だけ」に薬剤を塗り乾かす。

8-2
2回目印象材を盛る。(1回目とは違う硬さ)

8-3
印象材を専用のコテ(スパチュラ)でならす。(手つきがまるでパティシエのようです)

【技工士コメント1】

印象が実際に固まるまでの時間は3分と書いてあるけど、気温によって実際にはそれ以上です。
温度が高い夏の方が固まりやすいです。

印象を盛る時も必要なエリア、例えば前の方は筋肉が動くからあまり要らないなど、そういうことも分かって「盛る量」をコントルールしています。
「盛り方」があって、ある程度ルール化しています。

9-1
筋肉との接地面(入れ歯外側)を中心に、軟度の違う印象材を盛る。

9-2
印象材を専用のコテ(スパチュラ)でなじませる。

【技工士さんから患者さんへ】

イーウー、ベロ出したまま上唇をぺロペロ、イーウー、噛んでください。
やっと(印象の表面が)ツルツルになってきましたが、今度はコブが出来る・・・気泡が入っていたらNGなので、もう少し噛み合わせを上げないとダメですね。

「バリ」と「当たっている箇所の印象材」をさらに削り、3回目印象に備える。

筋肉に接している入れ歯外側のみ、もう1度精密印象を採取する。

12-1
印象材が接着しやすいように「削ってならした箇所だけ」薬剤を塗る。

12-2
最終印象材を盛る。(硬さが違う=印象材の色も違う、一番軟らかいのはピンク色です)

12-3
印象材を専用のコテ(スパチュラ)で均す。(なじませる)

ようやっと上アゴの最終印象です。

【技工士さんから患者さんへ】

イーウーオーイーウーオー、そのままお待ちください。

14-1
下アゴの最終印象採取後、最後の調整。

【技工士コメント2】

余計な部分(バリ)を削る削らない判断は、正直「やって分かるって領域」です。
KGKデンチャーでは「転覆試験(てんぷくしけん:入れ歯がギッタンバッコンならないようにするテスト)」をします。
入れ歯の左側を押して浮く=左で噛んだら浮く入れ歯になります。 これまでの入れ歯作りにはない発想です。
保険で使う柄のついた個人トレー(印象材を乗せるトレー)だと、転覆試験は出来ません。

16-1
最終印象採取後、最後の調整。口の中の形が忠実に再現されているのが分かります。

16-2
ゴシックアーチ用のプレート設置&インク乗せを行い、最終調整準備。

17-1
噛み合わせのバイト(高さ)を測るためのネジをセット&調整。

17-2
グリスを塗って準備。

17-3
患者様の噛み合わせの「感じ」(中心位:自然な噛み合わせの高さ)を何度も聞き、ゴシックアーチトレーサーを出し入れして、都度ネジを回して、バイト(噛み合わせの高さ)を合わせていく。

【ゴシックアーチトレーサーの噛み合わせ調整、実況中継!】

「ギリギリギリ、カチカチカチ、アーン、噛んで、どっちがいいですか?」(ネジをまわして調整×6回)
「咬合紙(こうごうし:赤の薄い紙)を噛んでください。」
「さっきと今、どっちがいいです?こうすれば、外れないですか?」
「少しは楽なった?じゃあ一回転、じゃあもう1個下、イーウー、どっちがいいですか?さっきの方がいい?
いいですね、じゃあ一回転、戻しましょう。」

【技工士コメント3】

最初の1000症例は同じ機能を持つBPSの「セントリックトレー」でやりましたが微妙にずれるので、自分でオリジナルの「ゴシックアーチトレーサー」を開発しました。
また、咬合平面(こうごうへいめん:噛み合わせの面)が平行かどうかを測るために、プレートを使います。

「耳珠(じじゅ:耳の穴の入り口にある出っぱり)」と「鼻翼(びよく:小鼻のこと)」を結んだ「カンペル平面」(下記画像)に並行に、または後ろを高くします。
これも近藤太(近藤義歯研究所代表)オリジナルです。

17-4
高さが決まったらネジを接着剤で固定させる

【ゴシックアーチトレーサーの噛み合わせ調整、実況中継!】

「はい噛んで、左右アーン、はい噛んで、右行けるところまでずらして行きましょう。」
「痛い?では、外して上下両方とも削りましょう。」

「はい噛んで、左右アーン、はい噛んで、噛んだまま前、後ろ、アイーン、前後ろ、アーン、奥歯でカチカチカチカチ。」 (すごい根気です)

18-1
しっかり噛み合わせてもらう為、当たって痛くなりそうなところを調整。

18-2ゴシックアーチによる噛み合わせ

18-3
下アゴネジの動きを上アゴトレーが受け止め、見事に「矢印型」のアゴの動きを表示。

19.最後に噛み合わせ部分のみ印象を取り、顔貌分析用の画像を撮ります。

21.見事なゴシックアーチによる精密印象の型が取れました!

【技工士コメント4】

印象を取る日が一番大変な日です、本当にお疲れさまでした。
次は1時間くらいで終わりますので、またよろしくお願いいたします。

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